世界自然遺産への登録が決まった「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」。知床(北海道)など登録済みの国内のほかの遺産地域と比べ、多くの人が暮らす生活圏に近いのが特徴だ。希少動物に出会える機会に恵まれる半面、車でひいてしまう「ロードキル」が課題となっている。各島で対策の模索が続く。
「時速57キロ。制限速度は40キロだから速すぎる。これでは路上の生き物に気づけない」
7月17日夜、沖縄県・西表島(竹富町)の県道。NPO「トラ・ゾウ保護基金西表島支部」事務局長の高山雄介さん(40)が、通過する車の速度をスピードガンで測り、メモに残した。
世界でこの島だけに生息するイリオモテヤマネコの事故を減らそうと、NPOが10年前から続ける「やまねこパトロール」。事故が多い場所と時間帯に年100日ほど、住民ボランティアとともに黄色灯を回転させながら車を走らせる。路上にヘビやカエルがいたら取り除く。「食べにきたヤマネコがひかれないようにね。特に子ネコは車への警戒心が薄いから、人が気をつけないと」と高山さん。
ヤマネコの推定生息数は約100匹。事故は2000年代までは年平均2匹弱だったが、10年代から4~5匹に。車の通行量の増加や路上のエサ場化、人慣れ……。原因ははっきりしないが「(個体数への)大きなダメージになりかねない」と環境省西表野生生物保護センターの担当者は話す。
「事故が起きやすい、大きな課題」
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル