車いすでも「チヌは狙える」信じて 磨いた技術、広がった釣り仲間

【動画】波止場でチヌ釣りをする車いす釣り師の井垣伸也さん

 九州各地の港や堤防をまわり、チヌ(クロダイ)の大物を狙う車いすの釣り師がいる。

 その腕前は、複数の釣り具やエサのメーカーから「フィールドスタッフ」や「テスター」として商品提供を受けるほど。車いす利用者としては異例のセミプロ釣り師の活躍に、熱い視線が注がれている。

車いすでも、釣り人としての限界はない。記事後半では、井垣さんが磨いた「技」を、文章と動画で紹介しています

 「ボラやな、これ。……いや、チヌやった!よしよしよし」

 6月中旬、福岡市中央区博多港の堤防。井垣伸也さん(44)の釣りざおが弓なりにしなった。釣り糸の先で水しぶきがあがり、うろこがきらりと日光をはじく。

 井垣さんの車いすはブレーキがかかっていてぴくりともしない。上半身だけで釣りざおを操り、たも網の長い柄を器用に伸ばし、魚体を入れて引き寄せる。

 44センチほどの立派なチヌだ。

 それでも、今まで釣った最大57センチには遠く及ばない。目標は60センチに達する超大物「ロクマル」だという。

 新しい餌をつけて釣り糸を投げ込むと、車いすの右側に置いたバッカン(容器)から、小さい玉じゃくしのようなひしゃくでビュンビュンとまき餌をすくって飛ばす。ボラが群がる。「餌はすぐばらけるよう軽めに作ってある。邪魔なボラを海面近くに集めて、底の方にいるチヌと分けるんです」

 頻繁に釣り針を引き上げて餌を付け替える。潮の動きを確認しながら、投入ポイントをずらす。

全ての動作は車いすに乗ったまま

 こうした一連の動作の間、井…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment