長野県栄村と新潟県津南町との県境にまたがる「秋山郷」。日本有数の豪雪地帯で、秘境として知られる。
この山里の栄村側で「秘境キャンプ」をうたっているのが「のよさの里キャンプ場」だ。面積の9割以上を山林が占める村に入ってから到着するまで1時間近くかかる。訪ねてみると何もない静けさを味わう人や、良いはずのないアクセスについて「近くて便利だ」と喜ぶ人たちがいた。
9月末、長野市の市街地から車で向かった。上信越道を長野県北部の中野市まで北上し、豊田飯山インターチェンジ(IC)で降りる。栄村を通過して、いったん新潟県側に入ると、国道から県道に入るのが近道だとナビに指示された。
ところが、案内された峠道は車1台分の幅の上、時折ごろっとした岩が転がっていた。不安になって途中、キャンプ場に連絡を取ろうとしたが、電波が届いていなかった。待避所があるとほっとする。再び国道に合流するまで、コンビニどころか車とも人ともすれ違うことはなかった。
後で調べると、秋山郷への道のりを「酷道(こくどう)」「険道(けんどう)」などと紹介しているサイトもあった。キャンプ場のチラシに「山奥でアクセスが悪い」とあるのもうなずける。
「何もない」空間に広がる非日常性
ただ、それだけの時間、労力…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル