細沢礼輝
東海道新幹線の車内販売終了とともに引退となったワゴンを抽選販売したところ、1台10万円という価格にもかかわらず、50倍近い申し込みが殺到したことがわかった。若干の傷や汚れが残る中古品とはいえ、もともとは安全性や機能性を追求した特注品。学校から「給食運搬に使えないか」などの問い合わせもあるといい、「再就職」は引く手あまたのようだ。
昨年10月末の車内販売終了にともない引退したワゴンは350台。一部は車内販売を続けるJR他社での活用が検討されているが、残るワゴンのうち、状態のよい50台が選ばれた。
今年1月末、1台10万円(送料、消費税込み)、1人2台までという条件で申し込みを受け付けたところ、今月5日の締め切りまでに1942件、2432台の応募が殺到。1台当たりの抽選倍率は48・6倍にのぼった。
抽選販売をした「JR東海リテイリング・プラス」(本社・名古屋市)によると、学校のほかにも「キッチンで使いたい」「オブジェとして飾りたい」などの問い合わせがあったという。
現役時代には、飲み物や弁当、土産品など50キロほどの重さになる商品をぎっしり積み込み、高速走行中の車内を行き来していたワゴンには様々な工夫が凝らされている。
安全のため、ワゴンを押すレバーから手を離せば、自動的に後輪ブレーキがかかる。重い荷物を積んでも段差を乗り越えられるよう前輪はバネ付きで、足元には前輪を浮かすためのペダルを装備。飲み物は冷たいまま運べるよう、保冷庫は断熱性の高い素材が用いられ、天井に保冷剤を載せられるという。
同社は「新幹線とともに駆け抜けたワゴンをただ処分するのではなく、欲しいと言ってくれる方に届けたいと考えた。ワゴンでもオブジェでも、希望通りに使ってもらいたい」と話す。(細沢礼輝)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル