1月1日、一人暮らしの五里地(ごりち)敏夫さん(84)は石川県輪島市河井町の自宅に親しい友人を迎えていた。午後4時ごろ、3階建て住宅が揺れた。2階の居間でくつろいでいた五里地さんは1度目の地震が落ち着いたのを確認して、トイレに入ったという。
その直後、さらに大きな地震に襲われた。住宅は、車庫などがあった1階は崩れなかったが、2、3階部分がずり落ちるように倒壊して道を塞いだ。閉じ込められた五里地さんは「出してくれ」と何度も助けを求めたが、声は徐々に弱まっていった。
友人は2日に救助されたが、五里地さんが救出されたのは1月5日午前。体を圧迫されたことによる窒息死だった。
輪島塗に代表される漆器作りを職人に発注したり、全国で売り歩いたりする人を「塗師屋(ぬしや)」という。五里地さんもそうだった。
高校を卒業後、東京で別の仕…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル