親しまれた名前が突然変わるのは「ヤフオクドーム」ばかりではない。
大阪市立中央図書館が10月1日から「辰巳商会中央図書館」になったという。昨年のデータによると、蔵書225万冊、年間入館者数139万人を誇る日本最大級の自治体図書館である。それが辰巳商会の1部門のような名前に変わってしまった。 (47NEWS編集部、共同通信編集委員佐々木央)
辰巳商会は海運を中心とする会社で大阪市に本社を置く。ホームページで事業内容を見ても、図書館との縁はなさそうだ。
何が起こったかといえば、大阪市がネーミングライツを売り、辰巳商会がそれを年額200万円、2年契約で買い取ったのだという。大阪市はほかに、区民センターやスポーツ施設、地域の図書館など56件のネーミングライツも売り出していて、生野図書館の最低募集価格は年間わずか10万円。それほど市財政がひっ迫しているのだろうか。辰巳商会としては、困っている大阪市を助けたと思っているのかもしれない。
正確に言えば、正式名称としての大阪市立中央図書館は残るが、愛称が辰巳商会中央図書館に変わり、一般的には、その愛称で呼ばれるようになる(それは他のネーミングライツの売却も同じで、正式名称は残っている)。ご覧の写真のように、中央図書館は案内版も建物外壁の表示ももう変わっている。
思えば東京・調布にある東京スタジアムが「味の素スタジアム」に変わったのが2003年。サッカー好きな友人の口から「アジスタ」という略称が出て「それなんのこと?」と聞いたのを覚えている。それが最初だったらしい。ちなみに「味スタ」はずっと契約を続けており、この3月に5年間、計11億5千万円で契約更新した。
スポーツ系のそれについては、運営のために仕方がないのかなと思ってきたが、短期間でころころ変わるものもあって戸惑う。新聞のスポーツ面の短信で略記される競技場名は、どこにあるのかも分からないこともがある。せめて名前の一部に地名だけは残してほしいというのが、このかんの切なる希望であった。
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース