警察庁がまとめた農機の交通事故発生状況で、2019年までの5年間の死亡事故数が、毎年約30件と減っていないことが分かった。農家数が減少傾向の中、死亡事故の割合は高まっている。死亡事故原因の8割は道路から田畑や用水路に転落するなどの単独事故で、操作ミスが事故を招いている。重傷事故は過半数を追突事故が占める。同庁は、確実なハンドル操作や、作業時以外の左右ブレーキ連結確認など、注意を呼び掛けている。
同庁が農耕作業用自動車の交通事故発生状況としてまとめた。小型と大型の農耕特殊自動車で起きた死亡事故と重傷事故を分析。農水省がまとめる農作業死亡事故発生状況は農作業中や交通事故を含むが、今回の調査は交通事故に絞ったもの。
19年の農機による交通事故は59件。重傷事故は29件で、死亡事故は30件あった。14年に比べ、全体の件数は16%(11件)減ったが、死亡事故は横ばいが続く。直近5年間を集計すると、死亡事故156件のうち124件(79・5%)は単独事故で、このうち57・1%が田畑などに転落する「路外逸脱」。運転操作を誤ったり、危険の発見が遅れたりして道路の外へ転落し、胸を圧迫されるなどで亡くなるケースが多いとみられる。
単独事故の発生時間は午前10時から午後6時までと時間帯に関係なく起きており、必ずしも暗い夜道で起きているわけではなかった。対策として農作業安全確認運動を展開する日本農業機械化協会は、道路脇の草刈りや危険個所の目印設置などが重要だとしている。
重傷事故は過去5年で206件起き、52・4%が追突事故。追突は午後4時から8時に集中する傾向で、昼間に起きた40件の事故でも11件はトンネル内だった。農耕車の追突事故が多い原因として同庁は「後続車から発見されにくいためだと考えられる」としている。
過去5年間の累計で重傷・死亡事故が多かった都道府県は、新潟が33件で最も多く、鹿児島(23件)、長野(17件)と続く。
同庁は安全キャブフレームの装着とシートベルトの着用を呼び掛けている。単独事故を防ぐには確実な運転操作や作業時以外は左右のブレーキ連結、追突事故の防止にはランプ類や低速車マークの取り付けを心掛けてほしいとしている。
日本農業新聞
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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