小野太郎
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、国が新たな区域の埋め立てに必要な設計変更を県に代わって承認するための「代執行訴訟」で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は20日、国の訴えを認め、県に25日までに承認するよう命じる判決を言い渡した。
県が期限内に承認しなければ、国は代執行に踏み切り、軟弱地盤が広がる区域で埋め立てに向けた工事を始める。国が地方自治体の事務を代執行すれば、前例のない措置となる。県は判決に不服があれば最高裁に上告できるが、工事は逆転勝訴するまで止められない。
訴訟では、設計変更を承認しない玉城デニー知事の対応が「著しく公益を害することが明らか」などの代執行の要件を満たすかどうかが争われた。
国側は「我が国の安全保障と普天間飛行場の固定化の回避という重要課題に関わる」と主張した。玉城氏は直近3回の知事選や2019年の県民投票で埋め立てに反対の民意が示されたとしたうえで、「何が沖縄県民にとっての公益であるかの判断は国が押し付けるものでなく、沖縄県民が示す明確な民意こそが公益とされなければならない」と訴えた。
防衛省は18年12月、辺野古南側の沿岸部で土砂投入を始めた。20年4月には北側の大浦湾で軟弱地盤の改良工事が必要として設計変更を申請したが、県が21年11月に「地盤の安定性の検討が不十分」などとして不承認とし、国と県の間で法廷闘争となった。
設計変更をめぐっては9月4日の最高裁判決で県が敗訴し、承認する法的義務が確定した。だが、玉城氏が承認しなかったため、国が地方自治法に基づき、代執行訴訟を起こした。10月30日に第1回口頭弁論が開かれ、玉城氏は法廷で「沖縄県の自主性および自立性を侵害する国の代執行は、到底容認できない」と意見陳述していた。(小野太郎)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル