光墨祥吾
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画で、名護市辺野古の海を埋め立てる土砂投入を政府が始めて14日で4年になる。「移設阻止」を訴える玉城デニー知事は、投入開始直前に初当選し、今年9月に再選された。県民投票でも7割が埋め立て反対となったが、この間、政府は強硬姿勢を変えず、工事を続けている。
普天間返還時期は日米で「2022年度またはその後」と合意したが、軟弱地盤の判明で大幅に遅れている。防衛省によると必要な土砂量計約2020万立方メートルのうち、今年10月末までに投入したのは、約12・6%(約256万立方メートル)にとどまる。
辺野古沿岸部の南側(約39ヘクタール)は陸地化され、かさ上げ工事が進む一方、軟弱地盤がある北側(約111ヘクタール)は、改良工事のための設計変更申請を玉城知事が昨年11月に不承認とし、埋め立てを進められない。対抗措置に出た政府と県の間では今年、新たな裁判が始まった。移設完了は、知事承認を起点として12年後とされる。
移設計画は、米軍キャンプ・シュワブがある辺野古沿岸部の北側と、南側を埋め立て、V字形の滑走路を造るというもの。埋め立て工事が始まった17年4月時点で、政府は5年間での埋め立て完了としていた。政府は土砂投入を始めた後に軟弱地盤の存在を認め、19年末に工期と工費の再試算を公表。それによると、設計変更申請を知事が認めた時点を起点として埋め立て完了までに9年3カ月。その後の施設整備などに3年を要し、普天間返還は早くても30年代までにずれ込む。工費も従来想定の約2・7倍の約9300億円にのぼるとされた。(光墨祥吾)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル