九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の重大事故を想定した避難訓練が7日、佐賀、福岡、長崎の3県であり、計約2250人が参加した。佐賀、長崎両県では新型コロナウイルスの感染者が出たとの想定で、感染拡大防止と迅速な避難を両立させる手順を確認した。一方、実際の感染者が5千人を超える福岡県では住民の参加が見送られるなどコロナ禍の影響を強く受けた訓練となった。
玄海原発から約11キロ北東にある佐賀県唐津市の離島・小川島。陽性になった70代男性の搬送を予定していたところ、7日朝に原発事故が起きたとの想定で訓練が行われた。周囲に感染を広げないようビニールで覆った患者役の市職員を担架に乗せ、唐津海上保安部の巡視艇で対岸に運んだ。例年実施する船による島民の避難は、コロナの影響で実施しなかった。
市によると、人口約300人の小川島には、小川小・中学校などフィルターなどを備えた放射線防護施設が二つある。防護区域面積は計約800平方メートル。こうした施設に全島民が避難した場合、1人あたりのスペースは3平方メートルに満たず、「密」を回避する目安の4平方メートルを下回る。避難訓練に参加した女性(71)は「避難所にいたら3密は避けられず、どうしたらいいか分からない。90歳近い年寄りもいるし、自宅にいるのが一番いいかもしれない」と話した。
長崎県では、玄海原発の重大事故のさなか、原発の西約25キロに浮かぶ人口約1千人の的山(あづち)大島(平戸市)から、感染者を佐世保市の感染症指定医療機関へ運ぶ想定で訓練をした。感染者に扮した市職員1人を軽ワゴン車に乗せて、感染防止のため窓を全開にして低速で港へ。海上保安庁の巡視艇で対岸の平戸港に向かい、救急車に乗り換えて搬送した。
島に常駐する救急隊員3人は防…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル