この夏、ブリとヒラマサをかけ合わせた魚「ブリヒラ」が本格的に売り出されている。近畿大学が半世紀前に開発した完全養殖魚。時代の波に乗り、ブレークなるか。
6月16日、大阪市であった飲食店関係者ら向けの商談展示会に、ブリヒラを紹介するコーナーがあった。刺し身を試食した飲食店経営者らは「食感がしっかりしていて脂ののりがいい」「味が濃く、カルパッチョにしてもいい」と興味津々だった。
ブリヒラはブリを母、ヒラマサを父に持つ。世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近大水産研究所が、1970年に開発した。和歌山県白浜町の近大の施設で稚魚を作り、高知県の養殖業者が育てている。
ブリは味の濃さと脂ののりが魅力だが、夏に課題を抱える。産卵を終えてやせ細る上、血合いの色が変わるのが早く、消費者から手にとってもらえない。ヒラマサは変色しにくく堅めの食感が特徴だが、ブリほどの味や脂はない。食べ頃まで成長する時間も3年と長く、値段も高めだ。
しかしブリヒラは味、脂、食感の良さを兼ね備えた上、変色もしにくい。成長も1年半と早い。値段はブリより少し高いが、ヒラマサよりは安い。夏でもおいしく安いブリ類として期待されている。
2万匹では足りぬ、今年は5万匹 夏のブリ類の主力に
夏に扱うブリ類の半分以上をブリヒラに置き換えようと動き出したのが、「ベイシア」(前橋市)だ。関東を中心に約100店のスーパーマーケットを展開している。
同社は近大と連携し、2018年からブリヒラを販売している。20年は刺し身やすしなどで2万匹を売り、お盆には完売。客からは「もうブリヒラないの?」との声が寄せられた。
1970年に開発されたブリヒラが今、脚光を浴びる理由とは。後半ではその背景を探ります。
そこで今年は5万匹のブリヒ…
この記事は
残り:1001文字/全文:1713文字
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment