岩手県警の少年補導職員、木井さくやさん(52)が少女と初めて会ったのは、盛岡東署の一室だった。万引きで補導されて半年。最近の生活ぶりを聞くと、「授業についていけない」「頼れる人がいない」と、14歳の少女は、遠慮なく悩みを打ち明けてきた。
まっすぐな子だ。それが第一印象だった。
警察を毛嫌いする子が多いなか、少女からはたびたび電話がかかってきた。平日の昼間しか電話に出られないと伝えても、朝出勤すると、留守電に「かけ直すね」とメッセージが残されていた。
先生のこと、友だちのこと。少女と交わす多くは、とりとめもない話だった。ただ、ときどき母親のことが話題になった。叱られた。話を聞いてくれない。少女はけんかのあげく、家を飛び出し、深夜徘徊(はいかい)を繰り返していた。
中学を卒業した少女は県外に出て、アルバイトをしながら各地を転々としていた。木井さんは手紙を送り、「困ったことがあったらいつでも連絡してね」と伝え続けた。お母さんとの関係を取り戻すことができれば、少女は変わっていける――。10年あまりの経験からそう感じていた。
〈どうすればいいかな〉
少女から初めて返信が届いたの…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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