100年前に都心を中心に大きな被害をもたらした関東大震災の爪痕が、今もなお失われつつある。住民たちがバケツリレーで火災から身を守ったとされる給水ポンプ所に、揺れに耐えた名建築ホテル――。その記憶も薄らいでいる。(矢島大輔)
ガンガン、ガンガン。
取り壊しが始まった東京都千代田区にある旧和泉町ポンプ所。7月に訪れると、ピンク色のれんが壁の建物半分がなくなり、屋根の骨組みがあらわになっていた。
「もう経験した人もいないし、記憶が薄れていって、地元でも知っている人が全然いないんだよねえ」
代々自営業を続けている町会長の後藤市郎さん(76)は言う。
木造家屋が立ち並んでいた当時、すさまじい勢いの火の手に迫られながらも、住民たちは、震災前年に完成したポンプ所から下水をくんで、身を守ったという。
記事の後半では、大きな揺れで多くの建物が倒壊する中、耐え抜いた名建築ホテルの理由に迫ります。80歳の現役客室係の女性が語ります。
焦土の中で残った「奇跡の地区」
近くの和泉公園にある石碑「…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル