迫力の「君が代」斉唱、W杯外国出身選手はどう練習?(産経新聞)

 ラグビー・ワールドカップ(W杯)で日本代表と、強豪・アイルランドとの一戦が28日に行われる。国の威信を懸けた代表戦の試合前に必ず行われる国歌斉唱。日本代表選手の半数を占める外国出身者も、“第二の故郷”の国歌「君が代」を完璧に歌いきる。なぜ彼らは母国ではない日本の国歌を覚え、全力で歌うのか。その理由は「国を背負う」重みにあった。(桑村朋)

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 「君が代は 千代に八千代に さざれ石の-」

 20日、東京・味の素スタジアムで行われたW杯開幕戦。日本代表のメンバーはいつもよりも緊張した面持ちだったが、力強く日本国歌を歌いきり、会場を奮い立たせた。

 「小さな石が一つの大きな岩になるのは、まさにわれわれがやろうとしていること。(メンバー)一丸でゴールに向かいたい」

 W杯を前に、こう語った日本代表のピーター・ラブスカフニ。母国は南アフリカだが、君が代の歌詞「さざれ石の巌となりて」の意味をひもといた上で、日本代表として団結することの大切さを説いた。   全員で練習

 ラグビーでは、国籍が違っても、3年以上継続して居住するなどの条件を満たせば代表資格が得られる。W杯日本大会の日本代表は計31人だが、そのうち外国出身の選手は15人と過去最多の半数を占める。

 外国で生まれた選手にとって、日本に来るまで縁もゆかりもない君が代。日本人でも意味を知らない人もいるだろうが、彼らは歌詞や意味を完璧に覚え、全員で肩を組んで熱唱する。彼らはどのように君が代を覚えたのか。

 「合宿では必ず全員で君が代を練習する」と明かすのは主将のリーチ・マイケル。自身が中心となり、歌詞や意味を外国出身者に伝える。「君が代の中身を自分たちにつなげ、理解して歌わなければ。より良い試合をするためにも、チームに日本を愛する感情を作らないとならない」と、常々愛国心の重要性を説く。

    合宿最後に

 《外国出身選手が真剣に君が代を歌う姿を見て泣きそう》《日本人より日本人らしい》

 優勝候補の南アフリカに歴史的勝利を収めた前回大会(2015年)では、こうした書き込みがインターネット上で多く見られた。当時はメンバーの3分の1が外国出身者。真剣に国歌を歌う彼らの姿に感動した日本人も少なくない。

 今年7月のW杯に向けた宮崎合宿最終日。代表メンバーは、宮崎県日向市の国内最大級の「さざれ石」を見学し、全員で「君が代」を斉唱した。選手自らの発案だった。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは「誇りを持って国歌を歌うことは大事。合宿の締めくくりに最適だった」と意義を語った。

 日本代表の外国出身選手を取り上げた著書『国境を越えたスクラム』(中央公論新社)があるノンフィクションライター、山川徹氏は「国歌を知ることで、国を代表する責任感、チームへの帰属意識が生まれるのだろう」と分析する。

 国歌の練習は、未勝利に終わったニュージーランド大会(11年)の後、当時の日本代表主将の広瀬俊朗氏の提案で始まり、徐々に浸透したという。山川氏は「外国出身選手は国歌の練習を通して日本文化を知り、『本当の仲間になれた』と思う。一見ばらばらに見えるチームが、こうしてまとまる姿を楽しむのもラグビーの魅力だ」と話している。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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