泣きながら歩いていたのは、つい2日前に助けた女の子だった――。2度にわたり、迷子の女児(5)を交番に連れて行き、無事保護に貢献した北九州市立日明小の男子児童3人が、福岡県警小倉北署から表彰された。
6月3日午後4時40分ごろ、6年生の首藤響祐さん(11)と宮本真太朗さん(11)、竹内顕誠さん(12)は学校近くの国道沿いを友人2人と計5人で歩いていた。前を歩く女の子がクマのぬいぐるみを抱えて泣いている。「お母さんはいる?」。首藤さんが語りかけた。
「お仕事に行っとる」
「おうちはどこ?」
「わからない」
5人は相談して、近くの日明交番に送り届けることにした。交番に行ったのは首藤さんと宮本さんの2人だけだ。新型コロナウイルス感染に気を配り「密にならないように」と人数を減らした。道中、2人は女の子に「大丈夫?」と話しかけながら歩いた。女の子は無事に母親の元へ戻った。
5日午後2時50分ごろ、首藤さんたち4人が歩いていると、女の子がぬいぐるみを抱えて泣いているのが見えた。2日前と同じ場所だ。「顔を見て同じ子だとわかってびっくりした」
「家がわからない」という女の子を連れて再び日明交番へ。今度は首藤さんと竹内さんの2人が付き添った。「どうして来たの?」「クマを探しに来たの」。交番に着いて笑顔を浮かべた女の子は、2人が立ち去るのを寂しそうに見つめていたという。
3人はいま学校で人気者だ。竹内さんは「友達から『すごいや』って言われた」。宮本さんは「困っている人は助けようと学校の道徳で学んだ」と話した。
梶原浩二署長は「皆が笑顔になる良いことをしてくれた」。首藤さんは「女の子が悲しい気持ちになっていなかったなら良いことをしたなと思う」と話した。(板倉大地)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル