退院した子どもに優しさを 悩みや周りの接し方、子リスの絵本で描く

 病気などからの退院後、学校への復帰や友達との再会を喜びながらも、元通りに動けないつらさを抱える。そんな子どもの悩ましさと、周りの優しい接し方で回復する様子を描いた絵本が出版された。2月15日の国際小児がんデーに合わせ、各地の病院に寄贈される。

 絵本は「げんきになったよ こりすのリッキ」(偕成社)。かけっこが好きな男の子のリスが病気になり、つらい治療を乗り越えて退院する。ドキドキしながら学校に戻るが、治療で体が弱り尻尾の毛が抜けていて、以前のようにはいかない。それでも周りのサポートで少しずつ元気を取り戻す――という物語だ。

 絵本が生まれたきっかけは、静岡県立こども病院(静岡市)の医学図書室で司書をしていた塚田薫代(しげよ)さんが「退院後の子どもたちの苦労が理解できる絵本がほしい」と編集者の千葉美香さんに話したこと。塚田さんは「厳しい治療を終え、やっと家に帰れると喜んだ後に、実は苦労が多いと知って衝撃でした。髪が抜けるなど容姿の変化でいじめられたり、勉強の遅れで自信をなくしたりという話を打ち明けられ、切なくて……。つらい思いをする子が減ってほしいと思い提案しました」と話す。絵本の最後に「アフターホスピタル、退院後の物語を知っていますか?」という一文も寄せた。

 実際、退院後も体力やウイルスなどへの抵抗力が戻るには時間がかかるため、しばらくは短時間の登校になったり、体育を見学したりという子どもは多い。通院が必要で、後遺症があるなどの事情を周りの子が理解できず、本人もどう伝えたらよいか困惑し、いじめやからかい、孤立につながる場合もある。

 文を書いた竹下文子さんによ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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