窃盗などの罪で実刑判決が確定した男が収容に応じず、愛川町の自宅アパートから逃走した事件で、逃走に使った乗用車が19日深夜に厚木市内で見つかったことが20日、県警への取材で分かった。横浜地検は同日、公務執行妨害容疑で、逃走を続ける無職の男(43)の逮捕状を取った。刃物を所持している可能性があり、県警も全国に指名手配して行方を追っている。
県警によると、乗用車は19日午後11時半ごろ、自宅から約7キロ離れた厚木市三田のアパート敷地内で発見された。このアパートには同容疑者の知人が住んでいるが、知人は同容疑者とは「しばらく会っていない」と話しているという。車内には、同容疑者が着用していたとみられる白いシャツが残されていたが、刃物はなかった。
逃走車両が同市内で見つかったことを受け、同市と愛川町の両教育委員会は20日、全45小中学校を休校とした。21日も朝までに同容疑者の確保など安全が確認されない限り休校の措置を取るとしている。
横浜地検や県警によると、同容疑者は19日午後1時半ごろ、収容のために愛川町田代の自宅を訪れた地検職員5人と厚木署員2人に包丁のような刃物を振り回し、付近の駐車場に止めてあった乗用車で逃走した。捜査関係者によると、同容疑者はインターホンを鳴らした職員らに大声で叫ぶなどし、台所の刃物を持ち出して威嚇し、車に乗り込んだという。
県警によると、同容疑者が乗った車は逃走から約3時間半後に、相模原市内を走行しているのが確認された。その後、同市内の量販店駐車場でも目撃され、午後6時ごろには大和市内の東名高速道路下り線を走行。同7時前には、厚木市妻田南1丁目のコンビニの防犯カメラに同容疑者と逃走車両が写っていた。逃走時は白のTシャツ姿だったが、防犯カメラ映像では黒っぽい服装だったといい、逃走中に着替えた可能性もある。
地検によると、同容疑者は窃盗、傷害、覚せい剤取締法違反などの罪で昨年9月に横浜地裁小田原支部で懲役3年8月の実刑判決を受けた。東京高裁に控訴したが、今年1月に控訴が棄却され、2月に判決が確定。控訴審中に保釈されていた。地検の呼び出しに応じないことから、職員らが自宅を数回訪ねたが、19日に接触するまで会うことができなかった。
◆初動対応後手に
収容に応じず逃走した容疑者(43)の行方は、依然としてつかめない状況が続く。初動時に横浜地検と県警の双方の対応が後手に回った可能性があり、市民からは情報提供の在り方にも疑問が投げ掛けられている。
地検職員と厚木署員が同容疑者の自宅を訪問したのは19日午後1時すぎ。県警によると、約30分後に同容疑者が逃走したことを受け、現場の署員は署の上司に連絡したが、署が県警本部に伝達したのは、1時間半近くが経過した同3時ごろだった。
県警は「家族から話を聞いたり、立ち寄る可能性のある場所を捜索したりしていた」と説明。ただ、同容疑者はその後、相模原市内や東名高速道路を車で走行していた。警戒レベルを上げて検問などを行う緊急配備の発令は発生から4時間余りがたった同5時45分ごろで、組織全体で情報共有が円滑でなかった可能性がある。
県警の古谷洋一本部長は20日の定例会見で、「県民に不安を与えていることを遺憾に思っている。全力を挙げて、一刻も早い発見、確保に努める」と述べた。
一方、地検が事件を公表したのは発生から約3時間後。地検が愛川町に連絡したのもそのころで、町幹部は「もう少し早く連絡をもらえれば、住民への対応を迅速にできた」と初動対応を疑問視する。竹内寛志次席検事は「知らせるのが遅くなってしまい、申し訳なく思う」と述べた。
同容疑者の実刑判決は今年2月に確定した。にもかかわらず、保釈中の同容疑者は4カ月以上も収容されず、地検は接触すらできていなかった。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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