逆境が生んだ武器“笑顔”で極めたメジャーの頂 渋野の恩師「一皮むけた」(産経新聞)

 ゴルフのAIG全英女子オープンを制し、日本人として42年ぶりにメジャー制覇の偉業を成し遂げた渋野日向子(20)。苦しいプレーの最中にも常に笑顔を絶やさない姿や、天真爛漫な言動は、世界をも魅了し、さわやかな旋風を巻き起こした。

 優勝をかけた最終18番でも渋野に笑顔は絶えなかった。ティーグラウンドに向かう途中の英国ら海外の観客とのハイタッチも、日増しに数を増やしていった。

 18番のグリーンでは、観客が大歓声で迎え、「誰に言っているのかな」と思いながらも、手を振って応えた。ウイニングパットを入れる際も緊張するそぶりはみせず「何で私が優勝しちゃったんだろう」と頭をかいた。

 陸上の投擲(とうてき)競技をしていた両親の次女として育ち、幼いころから運動に親しんだ。ゴルフを始めたのは小学2年。「父のすすめ」だった。小学時代に通ったゴルフスクールでコーチを務めた佐藤純さん(46)は「ミスをすると投げやりになり波があった」と語る。

 同じ小2では、ソフトボールを始め、並行して続けてきた。中学ではソフトボール部がなかったが、軟式野球部に入り、男子に混じって練習してまで“二刀流”にこだわった。

 だが、その中学の時、岡山県のジュニア大会を3連覇したのを契機に、野球部の顧問から「1本に絞る方がよい」との助言を受け、ゴルフに専念。作陽高に進学後は「中国女子アマ」「中国ジュニア」などを制し、徐々に頭角を現していった。

 高校で指導した田淵潔監督(59)は1日200~500球ほどのボールを自分の感覚を大事にしながら丁寧に打ち込んでいた姿が印象に残っている。「両親もアスリートで体格にも恵まれていた。ただ、天才タイプに思われるが、自分を律して努力を重ねていた」と振り返る。

 ただ、全国や世界での華々しい実績はなく、平成29年のプロテストに失敗。畑岡奈紗や勝みなみら“黄金世代”と呼ばれる平成10年度生まれの中で、1年遅れでプロになり“雑草系”の存在だった。

 強さを引き出したのが「笑顔」。ミスをしてイライラをためてスコア落とし、さえない表情を繰り返していたため、改善策に「笑顔」を取り入れた。

 その結果、国内ツアー本格参戦の今季2勝を挙げた上に、メジャーも制し階段を一気に駆け上がった。田淵監督は「もともと天真爛漫だが、さらに精神的に強くなって一皮むけた」と太鼓判を押し、父の悟さん(51)も「ここまで来るとは思わなかった」と目を細めた。

 渋野は、今でも「ゴルフよりもソフトボールが好きだ」と発言し、来年の東京五輪でもソフトボールの観戦に行くと周囲に公言している。だが、五輪では自身の女子ゴルフ出場への期待が高まる。「これからも笑顔を絶やさなければ、きっと活躍してくれる」。田淵監督も、そう信じている。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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