連続不審死・筧被告「死刑落ち込むから」と悩むも出廷(産経新聞)

 3月の控訴審初公判で法廷に姿を見せなかった筧千佐子被告だが、24日の判決公判には出廷。判決に動揺することなく、最後まで前を見据えていた。一方、弁護団は「審理が尽くされていない」と反発した。

【表で見る】筧千佐子被告の起訴内容

 筧被告は長袖のTシャツ姿で出廷。裁判所職員がヘッドホン型の補聴器を着けようとすると、「耳が悪いからね。(位置に)こだわるんです」と話した。

 「筧千佐子です」。裁判長から氏名と生年月日を尋ねられると、早口ながらもはっきりとした口調で答えた。判決理由の読み上げは約1時間。死刑維持の判決を告げられても取り乱す様子は見せず、閉廷すると傍聴席に一礼し、法廷を後にした。

 筧被告は今月中旬、大阪拘置所で産経新聞の取材に応じた際は「(出廷するか)悩んでいる。死刑といわれたら落ち込むやん」と話していた。判決後、大阪市内で記者会見した弁護団の堀和幸弁護士によると、この日の出廷について直前まで悩んでいたが、「支障がないなら出た方がいい」と弁護士に助言され、出廷を決めたという。

 一方、堀弁護士は会見で「認知症は年月がたてば進行する。現段階での訴訟能力など、何らかの審理をしていただきたかった」と控訴審の訴訟指揮に苦言を呈した。

 控訴審初公判では、弁護団は公判の停止か筧被告の再度の精神鑑定や訴訟能力について審理するよう請求したが、高裁はいずれも認めず、即日結審していた。この日の判決言い渡し前にも、弁護側は被告人質問の実施などを求めたが却下された。

 堀弁護士は「死刑に関係する公判では通常より慎重になるべきだ。少しでも疑問があれば、事実の取り調べをしてほしい」と訴えた。

 複数の被害者が相次いで不審な死を遂げた過去の類似の事件では、控訴審で複数回の審理を経た後、1審裁判員裁判での死刑判決が維持されている。

 平成21年に男性2人が海や川で溺死した鳥取連続不審死事件の控訴審は広島高裁松江支部で4回開かれ、上田(うえた)美由紀死刑囚(45)がほぼ黙秘した1審から一転し、被告人質問で無罪を主張した。

 また同年に男性3人が殺害された首都圏連続不審死事件でも東京高裁での控訴審の公判が4回開かれ、木嶋佳苗死刑囚(44)が出廷。証人尋問などを実施したが、木嶋死刑囚の被告人質問や意見陳述の機会はなかった。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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