連続窃盗事件で減刑判決 福岡高裁「工具の痕の鑑定に合理的な疑い」

中山直樹

 全国の弁護士事務所などに侵入を繰り返し、現金や金塊を盗んだとして、常習特殊窃盗罪などに問われた中国籍の盧兵(ロヘイ)被告(57)の控訴審判決が15日、福岡高裁であった。松田俊哉裁判長は、15の事件のうち12件について、福岡県警科学捜査研究所が鑑定した証拠の信用性に疑いが残るとして、懲役9年とした一審・福岡地裁判決を破棄し、懲役4年の判決を言い渡した。

 一審判決は、現場の金庫やドアノブに残されたひっかき傷やへこみなどの痕と、被告が所持していた工具を使った実験結果が一致するという科捜研の鑑定結果を証拠として認定した。

 これに対して控訴審判決で松田裁判長は、工具が時間の経過などで摩耗する可能性などについて、科捜研が説明していない点を指摘。「工具痕の鑑定を犯人性の決め手に使うことは合理的な疑いが残る」とした。

 被告の代理人の郷原信郎弁護士は、「工具痕の鑑定に科学的な根拠がないことが明らかになった。鑑定のみに依拠した冤罪(えんざい)事件が他にもあった可能性がある」と指摘した。

 福岡県警は「判決文を精査しておらず、コメントできない」としている。(中山直樹)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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