逮捕されて気づいた特殊詐欺への加担 大学生が自ら踏みにじったもの

 イヤホンの声に指示されるまま、大学生のトモヤ(仮名、21)は高齢女性から紙袋を受け取った。その直後、警察官4、5人に囲まれて現行犯逮捕された。

 警察から告げられた逮捕容疑は詐欺未遂だった。

特殊詐欺の被害に遭ったのは、記者(28)の祖母(81)でした。連載の第3回は、「受け子」として逮捕された21歳男性の保釈後の取材をもとに描きます。

 警察署の取調室。トモヤはいすに座らされ、50代ほどの男性刑事と向かい合った。

 手錠は外されたが、腰縄は付けられたまま。

 大学の級友から紹介された「仕事」は「脱税の手伝い」で「指定の場所に紙袋を置くだけ」と聞いていた。

 だが、刑事が明かした事件の中身は大きく違った。

 トモヤが逮捕前日に高齢女性から「書類」として受け取った紙袋。中身は現金100万円だった。電話相手を「孫」と思い込み、孫を助けたい一心で女性が用意したお金。

 自分は、特殊詐欺グループから、そのお金を受け取るために派遣された「受け子」となっていた。

 トモヤは、初めて聞いたような言葉があった。

 特殊詐欺……。受け子………

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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