愛知県弥富市の市立中学校で、3年の生徒が同学年の別の生徒を刺したとされる事件。24日午後、校長らが当時の様子を説明した。被害に遭い死亡した生徒を知る人や保護者からは、悲しみや不安の声が広がった。
事件のあった中学校では、午前中の授業を自習に変更した。校内では、4人の生徒が気持ち悪さを訴えたという。午後1時40分ごろからは、一斉に生徒らが下校。教職員が「車に気を付けて」「寄り道しないように」と声を掛ける中、生徒は数人ずつ固まって自転車で帰宅していった。
25日以降も休校にはしないが、同日から予定されていた期末テストは1週間程度、延期。3年は卒業まで、別教室で授業を行う。弥富市教育委員会は弁護士や臨床心理士、学識経験者らでつくる第三者委員会を設置し、検証を進めるという。
愛知県教育委員会は24日、スクールカウンセラーで指導的役割を果たす「スーパーバイザー」1人を同校に派遣した。生徒や保護者らへの対応を学校側に助言するといった支援をしたという。25、26日は臨床心理士1人をスクールカウンセラーとして派遣する予定で、主に生徒の心のケアを担当する。
大村秀章知事は24日の記者会見で「(市の第三者委で)こうした痛ましい事案に至った経緯と、安全を確保するためにまずはしっかり検証、分析していただきたい。県としてもしっかりとサポートしていきたい」と述べた。
文部科学省は事件を受けて愛知県教委に対し、スクールカウンセラーの追加配置が必要な場合は財政支援することを伝えた。まわりの生徒の心のケアを担ってもらうためだという。文科省児童生徒課の担当者は「事件の動機や背景などまだ分からないことが多いが、必要な支援をしていきたい」と話した。
生徒や関係者に広がる動揺
この学校の生徒の保護者や、近所の人たちの間にも動揺が広がった。
事件発生を受け、昼ごろには校門前に学校の様子を見に来た保護者もいた。娘が3年生という50代の女性は「学校からは『生徒同士のトラブルで緊急搬送される事件があった』ってメールもきたけど、状況も何もわからなくて……。不安になって駆けつけました」と心配そうな表情で見つめていた。
「息子は話せる状態ではない」。そう話す女性の息子も3年生で、亡くなった生徒と同じ部活という。息子は帰宅後、食欲もなく寝込んでしまった。学校で事情を聴かれたといい、「疲れた」と話していたという。ショックを受けているようで「そっとしています」と話した。
亡くなった男子生徒の家の近くに住む男性(78)は「大変なことになった」と声を落とした。生徒が友人3、4人と一緒に登下校する姿をよく見ていたという。休みの日には、庭で祖母と草むしりをしたり、父親とサッカーをしたりしていたという。「会うとあいさつしてくれる、きちっとした良い子だった」
息子が、亡くなった生徒の1学年上で仲が良かったという女性は「あの元気で笑顔の子が……信じられない」と話した。男子生徒は、はつらつとした印象だったという。息子からも、「本当に…?」と不安な様子のLINEが届いたという。
被害生徒と同じ小中学校だったという高校1年生の男子生徒(16)は「とにかく悔しいという言葉が一番です」。スポーツが好きな生徒だったという。
午後7時からは学校で、緊急の保護者会が開かれ、約140人が参加。冒頭で学校側が経緯を説明。保護者からは、子どもの心のケアを求める声が上がったという。
2人のトラブル 校長「分かっていない」
記者会見では、2人の生徒の関係についても説明があった。
校長によると、2人は同じ小…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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