福岡県中間市の双葉保育園で昨年7月、園児の倉掛冬生(とうま)ちゃん(当時5)が送迎バス内に取り残されて死亡した事件で、業務上過失致死の罪に問われている当時の園長、浦上陽子被告(45)と、園児を降車させる係だった保育士の鳥羽詞子(のりこ)被告(59)の初公判が26日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)であった。2人は起訴内容を認め、「申し訳ない」と謝罪した。
起訴状によると、2人は昨年7月29日朝、冬生ちゃんら園児7人が乗った送迎バスが保育園に到着した際、冬生ちゃんを車内に残したまま施錠。冬生ちゃんを炎天下のバスに約9時間にわたって放置し、熱中症で死なせたとされる。
裁判では、事件当日の様子も明らかになりました。発生から裁判までの動きを記事後半で詳しく紹介しています。
検察側は冒頭陳述で、中間市では最高気温が30度を超える日が続き、事件当日も晴天で、園児をバスに放置すれば危険なことを2人が認識していたのに、人数の確認などを怠ったと主張。冬生ちゃんが座っていた席付近の温度が再現実験で55度にのぼったことや、搬送時の体温が39・1度だったことも示した。
この日は2人の被告人質問もあり、事件当日の詳しい様子が明らかになった。
双葉保育園は、2020年春から保護者の要望で2台目の送迎バスを追加したが、職員不足で火、水、木曜日は園長が運転し、同乗の職員はいなかった。
当日の車内確認について浦上被告は「1歳の園児が車内で大声で泣いていて、そちらに気をとられた」と説明。近隣住民らからの苦情を恐れて園児が降りた後の車内を確認せず、園児たちを急いで園に連れて行こうとしたという。降車を手伝っていた鳥羽被告は「車内の確認は、浦上被告がやっていると思い込んでいた」と述べた。
浦上被告はまた、バスに乗り…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル