記者解説 高松総局・増田洋一
踏切横断中の高齢者が電車にはねられ亡くなる事故が、香川県の私鉄で相次いで起こった。いずれも遮断機も警報機もない第4種踏切で、危険性が改めて懸念されている。JR、私鉄あわせて2022年3月末で全国に2455カ所ある。国は改良や廃止を促すが、費用や地元の反対もあって十分には進んでいない。
総務省によると、第4種踏切の事故発生数は19年で100カ所当たり1・02件。遮断機と警報機を備えた第1種踏切の0・59件の1・7倍だ。
01年以降の安全基準では鉄道と道路は立体交差が基本で、例外的に踏切を設ける場合は遮断機と警報機が必要とされる。国土交通省は経過措置として第4種の存続は認めているが、早期の廃止か第1種への改良を要請している。
全体の約半数が中小私鉄に残る。「ことでん」の略称で知られる香川県の高松琴平電気鉄道では現在39カ所(22年3月末は40カ所)ある。廃止や第1種への改良でこの10年で7カ所減らしたが、全て解消するめどは立っていない。
ことでんでは、この半年で第4種踏切での事故が2件あった。まんのう町では3月2日、歩いて横断していた女性(83)がはねられた。ことでんによると運転士が約45メートル手前で気づき、警笛を鳴らしてブレーキをかけたが間に合わなかったという。踏切は幅約4メートルの町道に設けられている(踏切部分は幅約1メートル)。簡易遮断桿(かん)という長さ数十センチのさおを押し開けて入る構造だ。電車は日中は1時間に4本ほど往来するが接近を知らせる警報機や遮断機はない。周囲には畑と住宅が混在し、警察は女性が普段から踏切を利用していたとみている。
昨年9月には、高松市で76…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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