結婚する時に夫婦が同じ姓にするか、別の姓にするかを選べる「選択的夫婦別姓」。導入の是非が、今回の衆院選で争点の一つになっています。30年以上前から著書などで導入の必要性を訴えてきた社会学者、井上治代さんの体験から、浮かんでは消える導入議論の問題点を考えます。
35年前に「別姓のすすめ」の声上げる
井上さんは1986年、「女の『姓(なまえ)』を返して―夫婦別姓のすすめ―」(創元社)を出版した。女性問題などに声を上げてきた評論家の樋口恵子さんや、当時司法修習生だった福島瑞穂・社民党党首らへのインタビューを載せたほか、別姓を望む主婦、「夫の付属品」と感じるようになって別姓にした女性、妻の姓を選択した男性などの声を紹介した。
当時、こうした本はまだ珍しかったが、「はじめに」には、こう書いた。
女性の生き方が多様化し、性…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル