一部の大手ペットショップチェーンが始めた、販売用の子犬・子猫の遺伝子検査。各チェーンの取り組みは、状況の改善に結びついているのでしょうか。またそもそも、日本国内における遺伝性疾患の広がりはどの程度のものなのでしょうか。朝日新聞が入手したデータから見えてきた現実とは。
犬種や猫種に特有の遺伝性疾患がいくつも存在します。それは、人が純血種として固定化してきた結果として生じたもの。一方で、人が交配の組み合わせを決めて繁殖、販売する犬猫では、原因遺伝子が一つに特定されている遺伝性疾患の「予防」も可能です。犬猫の遺伝性疾患を巡り、ペット販売の現場では何が起きているのか。消費者の側にはどんな問題があるのか。朝日新聞が入手した独自データなどをもとに、3回にわたって報告する連載の2回目です。
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朝日新聞ではAHB、コジマ、Coo&RIKUによる遺伝子検査の結果(一部をグラフ化)を入手し、動物の遺伝性疾患に詳しい鹿児島大の大和修教授に分析してもらった。疾患の原因となる遺伝子を受け継いでいても発症しない子犬・子猫が「キャリア」、一方で発症する可能性がある子犬・子猫は「アフェクテッド」と呼ばれる=チャート参照。
大和教授は全体を見て、「疾患によっては減少傾向を示しているものもある。しかし、直接には予防に結びついていないことがわかる」と指摘する。
死に至る疾患であったり、原因となる遺伝子を持つ割合が高い犬種・猫種が人気種のため消費者への影響が大きかったりする、主要な遺伝性疾患ごとに見ていくと、犬種・猫種や疾患によって対策に濃淡がある現実がわかってきた。遺伝子検査済みの親から生まれた子犬・子猫を選択的にオークション(競り市)で仕入れているコジマ(東京都江東区)から入手したデータは、犬は6種、猫は2種の遺伝性疾患について、キャリア率とアフェクテッド率の推移がわかるようになっている。また、販売するすべての子犬・子猫と、その仕入れ先の繁殖業者のもとにいる親犬・親猫の検査をすすめているAHB(同)は犬種、猫種ごとに、犬は14疾患、猫は3疾患の検査結果をまとめている。
これらのデータを見ていく。
まず「GM1ガングリオシド…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル