大山稜
遺伝子が組み換えられた赤いメダカを違法に飼育するなどしたとして、警視庁は、埼玉県春日部市のメダカ販売店経営者の増田富男容疑者(67)のほか、観賞魚愛好家の60~72歳の男4人の計5人を遺伝子組み換え生物使用規制法違反(未承認使用)の疑いで逮捕し、8日発表した。
これらのメダカは東京工業大の研究所(横浜市)で飼育していた遺伝子組み換えメダカの卵が2009年に男子学生によって違法に持ち出され、繁殖したものだという。文部科学省は同日、東工大に対してメダカの取り扱いが不適切だったとして厳重注意した。
生活環境課によると、逮捕された5人は2021年7月~22年8月、遺伝子の一部がサンゴに由来する成分に組み換えられ、赤色になったミナミメダカを環境相の承認を受けずに販売目的で運搬したほか、飼育するなどした疑いがある。
5人は個人取引や展示会で遺伝子組み換え生物であることを伏せて「珍しい光るメダカ」などと説明し、1匹150~10万円で販売。いずれも容疑を認め、「見たことのないきれいなメダカなので手に入れたかった」などと話しているという。
同課は、メダカがこれらのルートで約50人に流通していたとみて、関係先から計約1400匹を押収。研究所から持ち出した当時学生だった男性(35)ほか流通に関わったとされる61~70歳の男女3人も同法違反容疑で書類送検した。
遺伝子組み換え生物は、既存の生物のエサや生息場所を奪ったり、交雑して生態系に影響を及ぼしたりする恐れがある。04年施行の同法は、遺伝子組み換え生物を安全に取り扱うためのルールを定めている。この分野の安全対策について話し合われた南米コロンビアの都市カルタヘナでの国際会議にちなみ、「カルタヘナ法」とも通称される。
同法違反容疑で逮捕者が出るのは全国初という。(大山稜)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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