1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件で、逮捕された当時14歳の少年をめぐる事件記録を神戸家裁が全て廃棄していたことがわかった。家裁が20日に明らかにし、「適切ではなかった」と認めた。廃棄の時期や経緯は不明だが、調査はしないという。
社会を揺るがした少年事件の記録一切が失われたことで、事件を検証したり、同種の事件が起きた際の参考にしたりすることができなくなった。事件に関わった人たちからは怒りや落胆の声が上がる。
事件では97年2~5月に児童5人が相次いで襲われ、小学4年の山下彩花さん(当時10)と小学6年の土師(はせ)淳君(同11)が殺害された。当時14歳の少年が殺人などの容疑で逮捕され、神戸家裁は医療少年院に送致する保護処分を決定した。
家裁によると、廃棄したのは少年が受けた少年審判の記録。医療少年院送致とした家裁の処分決定書や、兵庫県警と神戸地検による供述調書、専門家の精神鑑定の結果などが含まれるとみられる。どのような記録があるかを管理する「事件簿」も廃棄されており、詳細はわからないという。
最高裁は少年事件の記録の保存期間を「少年が26歳に達するまでの期間」と定めている。この事件でいえば2008年までだ。一方、1992年の通達では、保存期間が過ぎても廃棄せず「特別保存」する対象として、「世相を反映した事件で史料的価値の高いもの」や「全国的に社会の耳目を集めた事件」などを挙げる。
事件は刑事罰の対象年齢を16歳以上から14歳以上に引き下げる少年法改正につながるなど社会的な影響があった。
家裁の横山経成総務課長は廃棄について、「運用は適切ではなかったと思われる」と認めた。少年事件の記録は家裁の少年首席書記官の指示で廃棄すると説明したが、聞き取りなどの調査は「当時の担当者に聴取しても個人の見解にすぎない。今後もする予定はない」などと繰り返した。
加害少年の付添人を務めた工…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル