遺族ら「納得できますか」 危険運転、二審も認めず

 津市の国道で2018年12月、時速140キロ超の乗用車がタクシーと衝突し、乗客ら4人が死亡、1人が大けがを負った事故で、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた元ソフトウェア会社社長末広雅洋被告(58)の控訴審判決が12日、名古屋高裁であった。堀内満裁判長は、同罪の成立を認めず過失運転致死傷罪で懲役7年とした一審判決を支持。検察側、弁護側の控訴を棄却した。

 高裁判決によると、末広被告は18年12月29日午後9時50分ごろ、津市の国道の直線道路で法定速度の時速60キロを超える146キロで車を運転し、道路を横断していたタクシーに衝突。タクシー運転手と乗客の男性計5人を死傷させた。

 堀内裁判長は、危険運転致死傷罪の成立要件である「制御困難な高速度」にあたるかについて、被害車両のような他の走行車両の存在を判断要素に含めるべきではないと指摘。被告の車は進行しようとした進路からは逸脱していないとして「制御困難な高速度に該当するとは言いがたい」とした。

 一審判決は、制御困難な高速度にあたるとしつつ、被告に危険性の認識があったとまでは言えないとして同罪の成立を認めなかった。控訴審はさらに厳格に要件を判断した。

 堀内裁判長は「常識的に見て『危険な運転』であることはいうまでもないが、条文や立法趣旨をゆるがせにはできない」と述べた。(村上友里)

 「判決を決めた方々に『あなたが私の立場なら判決に納得できますか』と聞きたい」

 判決後の会見で牛場里奈さん(34)は言った。2年前の冬、事故で婚約者の大西朗さん(当時31)を失った。

 「朗が亡くなってから(時間は)止まったまま。朗の分まで前向きに生きようと何度も思ったけれどそうなれない」と声を震わせた。

 婚約者を失った後は不眠や記憶…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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