今回は相続を放棄するケースについて考えます。「故人が遺した資産より借金の方が多い」「いつ売れるか分からない不動産の固定資産税を払いたくない」「親族の相続争いに巻き込まれたくない」…など、相続放棄の理由はさまざま。父の遺産をすべて母に渡そうと相続放棄したら、別の親族に相続権が生じてしまった、ということも。相続放棄に関する注意事項や、今回の相続法改正による変更点などについて、札幌弁護士会の山田光洋弁護士に聞きました。(聞き手・報道センター 小林基秀)
――まずは遺産の種類を教えて下さい。
主に(1)現金や現金化が容易な預貯金や有価証券(2)土地や建物など不動産(3)自動車や宝飾品などの動産―に大別されます。こうした遺産を相続する場合(「単純承認」といいます。)、故人が残した借金など「負の遺産」も同時に引き継がなければなりません。これは、カードローン、クレジット、住宅ローン、自動車ローンなど本人の借金に加え、連帯保証人になっている場合の「保証債務」も含まれます。
遺産も借金もあるケースは
――遺産よりも負の遺産が多い場合、つまり債務超過であれば相続放棄すればいいのですね。
はい。ただ、債務超過ではなく、遺産の方が多い場合でも、相続放棄するケースはあります。例えば、遺産は少しあるけれども、故人が借金していたことが相続した後に判明した場合のリスクを考慮し、放棄するケースです。また、相続人が多くて、他の相続人と連絡が取れない、または関わりたくない、親族の相続争いに巻き込まれたくないために、放棄するケースもあります。
――でも、もらえる遺産の額が相当大きいならば、嫌な思いをしてでも相続したいと思うのが人間では。
想定される遺産の額が大きく、相続人同士がもめた場合は、家庭裁判所の遺産分割調停や審判の手続きを利用することもあるでしょう。弁護士に相談していただければ、予想される相続分と、弁護士にかかる費用を比較して、検討することもできます。その際は、札幌弁護士会の法律相談センターの無料相談(予約制)も利用できます。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース