和歌山県田辺市の資産家の不審な死から1年あまり…。その巨額の遺産を巡って、新たな展開が…。
生前の野崎幸助さん:
「1億円くらいは紙切れみたいなもんや、私にとっては」
酒の販売や金融業を営み資産家として知られていた“紀州のドン・ファン”こと野崎幸助さん。
去年5月、自宅で死因が覚せい剤中毒という不審な死を遂げました。これまで不審死の謎と合わせて注目を浴びていたのがその莫大な遺産の行方。
野崎さんは亡くなる3か月ほど前に55歳年下の女性と結婚していて、遺産は妻ときょうだいに相続されるとみられていましたが、そこに出てきたのが…。
<野崎さんが書いたとされる遺言書>
「個人の全財産を田辺市にキフする 野崎幸助」
メモ書きのようにも見えますが、野崎さんが書いたとされる遺言書の存在が明らかになったのです。
相続の当事者となった田辺市は…。
田辺市の担当者:
「市民全体の利益を考え遺贈を受ける方針を固めました。(田辺市では)現在のところ、この遺言書は有効であるという扱いになっております」
遺産の相続に向けて準備を進めるとした田辺市。野崎さんの遺産は不動産や車、絵画などを除いても13億2000万円ほどあるそうです。これについて街の人は…?
女性:
「良いことだと思います」
若い夫婦:
「ほんまに?って感じやけど…犬にあげるって言ってたし、いつからそんな町に寄付する人になったの?みたいな」
別の女性:
「全額(寄付)になると思います。そのための遺言ですもんね。結婚してすぐ亡くなったんでしょ?だから寄付してもらったほうがいいように思いますね」
また別の女性:
「(私が妻なら)ちょっとだけちょうだいって思いますね。13億円やったら…1億円!(妻は)もらえなさそう、遺言が認められちゃったら」
はたして“紀州のドン・ファン”が築いた巨額の遺産の行方は…。菊地幸夫弁護士に法律の観点から伺います。
Q.もし遺言がなければ、今回は妻が4分の3、残る4分の1をきょうだいで分けるという形になるそうですが?
菊地弁護士:
「今回の遺言があっても、法律上、半分は妻のものとなります。遺留分と言って、遺言にかかわらず妻や子供などには最低限の取得分が認められるんです。
もし私が邪な夫だとして、『よし、俺の財産は愛人に全部遺すぞ』と決めて、そうした遺言を書いて死んでしまい、全額愛人にいってしまったら、残された妻や子供は生活に困りますよね。ですから最低限は残しましょうというのが遺留分の制度なんです。だいたい取り分の半分は残しましょうとされています。
一方で、その場合きょうだいの取り分はありません。生活が一緒だった人たちの面倒を見ようというものでして、きょうだいは独立して生活をしていますので、その人たちはあなたたちだけでやってくださいとなります。
ちなみにこの遺留分は、亡くなってから一年の間に『遺留分を請求します』と手を挙げなければいけません。ですので、恐らく妻はすでに手を挙げられていると思われます」
Q.野崎さんの遺産はその13億円だけではなく、それ以外に土地42筆、建物36棟、自動車8台、絵画3点、壺1点があるそうです。これらも含めて遺留分の計算の対象になるのでしょうか?
菊地弁護士:
「そうですね。全体です。多分お役所としては土地・建物は管理しないといけないので、『いらない、お金のほうがいい』となるんでしょうけど、妻側とこれから協議して恐らく決着をつけていくんだと思います」
Q.もし遺産が家だけだったとしたら、それを割らないといけなくなるんですか?
菊地弁護士:
「昔はそうでしたが、改正法によって今は金銭請求ということで遺留分は請求できるようになりました」
(関西テレビ9月18日放送『報道ランナー』内「そこが聞きたい!菊地の法律ジャッジより)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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