凍える寒さの中で起きた2011年3月の東日本大震災の被災地では、地震や津波から助かった命も、避難中に低体温症などで奪われた。冬場の避難時にどう身を守っていくか。自治体や住民も備えを進めている。
震災で津波に襲われた宮城県気仙沼市の介護老人保健施設「リバーサイド春圃(しゅんぽ)」。当時、施設長だった猪苗代(いなわしろ)盛光さん(75)は2階で胸まで海水につかり、次々と沈んでいくお年寄りを見た。利用者約130人の平均年齢は80歳超で、8割が車椅子を必要としていた。津波で47人が亡くなった。
悲劇は、これにとどまらなかった。
生き延びた利用者やスタッフは翌日、高台にある中学校の体育館に避難した。「安全を確保できた」。ほっとできたのはつかの間だった。
この日の最低気温はマイナス…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル