能登半島地震の発生から2週間を前に、岸田文雄首相が初めて被災地を視察した。インフラの復旧などが一定程度進み、被災者の声を直接聴く状況になったと判断した。首相官邸は今回の視察で何を意識し、これから何が問われるのか。
13日後の視察、こだわったタイミング
首相は14日午前から、深刻な被害を受けた石川県輪島市や珠洲市の避難所などを訪れた。避難している高齢者に「皆さんの思いをしっかり受け止め、全力で頑張りますので、どうか心を強く持ってください。しっかり希望を持てるように努力します」と声をかけた。
大規模な災害が起きると、行政トップの首相は発生からそう遠くない時期に被災地に入るのが常だ。自ら被害の状況を確認し、被災者の支援や復旧・復興に向けた判断に役立てる意義があるとされる。一方で、警察による警備など負担も伴うため、発災直後の視察は難しい面もある。
首相は今月4日に「できるだけ早く被災地に足を運びたい」と語っていたが、実現は発生から13日後になった。官邸内では「人命救助が続いている中で、受け入れ態勢が整わない」(首相周辺)「現地が迷惑する」(幹部)などと、早期視察に慎重な声があった。
2016年の熊本地震では、当時の安倍晋三首相が熊本県の被災地を訪れたのは発災から9日後だった。11年の東日本大震災では、翌朝に菅直人首相(当時)が被災地の宮城、福島両県などをヘリコプターで上空から視察。「津波の被害が大きいと実感した」などと話した。地上からの視察は状況が整わず、初めて被災地の岩手県陸前高田市に入ったのは22日後となった。その後、菅氏は被災地に何度も入ったが、福島県の避難所で被災者から「もう帰るんですか」と抗議を受けたこともあった。
「リスク覚悟の判断、できていない」自民内から漏れる批判
今回の岸田首相の視察では…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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