公立中学校の部活動が、学校教育から地域に託されようとしている。
背景の一つにあるのは「先生の働き過ぎ」だ。
こんなデータもある。
顧問の教員の時間外勤務の平均は平日に2時間49分、休日に1時間29分。顧問でない場合より平日は55分、休日は71分長かった――。埼玉県教育委員会が21年度、さいたま市を除く62市町村から公立中学校を1校ずつ抽出し、調べた結果だ。
実際に負担を減らす手立てになるのだろうか。国が今年示した提言を受け、埼玉県内でも先進的に移行を始めた自治体がある。
実業団の元選手が指導
11月初旬の土曜日の朝。白岡市立南中学校の校庭では、女子ソフトボール部が移行後初めての練習に励んでいた。
「みんな、どんな風にボール持ってる?」。キャッチボールをする生徒たちを集めてこう話しかけたのは地域部活動の指導者、松本風花さん(28)だ。
競技歴は約15年で、実業団でのプレー経験もある。実業団時代のつてで紹介され、市が休日の部活動の運営を委託する「スポーツデータバンク」(東京都中央区)を通じて派遣された。
部長の渡辺詩音(しおん)さん(2年)は、松本さんの指導を真剣な表情で聞いていた。「最初はどんな先生が来るか分からなかったので不安が大きかったけれど、専門的な指導でうれしい」
市内の地域部活動は基本的に、平日と同じ校内で行われ、指導者には時給2千円が支払われる。謝礼金の管理を含む運営はスポーツデータバンク社が担い、休日の部活動の責任を負う。
2022年度は既に全4中学校の12の部の移行が決まり、今後も順次拡大予定。市内になかったダンス部も4校合同の地域部活動としてスタートを切った。来年度には4校の全ての部活動で移行を完了させたい考えだ。
部員は減るのに、部活は減らない実態
部活の地域移行が始まる背景には、教育現場が抱えるいくつかの問題がある。
一つは教員の長時間勤務だ。白岡市立南中女子ソフトボール部顧問の高橋和花教諭(26)は「土日に部活が入ることで、プライベートの時間が取れないこともあった」と話す。
教員の数も減っており、県教委担当者によると「競技経験のない教員が指導し、負担となるケースも以前より増えている」という。
少子化に伴い、部員数も減っ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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