郵便局の立てこもり 拳銃は真正と判明 警官への発砲容疑で再逮捕へ

有元愛美子 野口駿 仁村秀一

 埼玉県蕨(わらび)市の蕨郵便局で10月にあった人質立てこもり事件で、県警は、人質強要処罰法違反容疑で逮捕した無職鈴木常雄容疑者(87)を、現場で警察官を殺害しようとしたとして、殺人未遂や銃刀法違反(加重所持、発射)などの疑いで21日に再逮捕する方針を固めた。その後の捜査で、目撃証言などから警察官に向けて発砲したことや、鑑定で拳銃に殺傷能力があることが判明した。捜査関係者への取材でわかった。

 再逮捕容疑は10月31日午後、立てこもった際に局内外にいた警察官に向けて拳銃を2回発砲し、殺害しようとしたというもの。うち1発は弾がパトカーのタイヤを貫通し、近くの住宅の壁が壊れるなどした。もう1発は局内の壁にあたった。発砲の意図は詳しく供述していないというが、県警は、警察官が死んでも構わないとの未必の殺意があったとみている。

 鈴木容疑者は当時、局内に複数のポリタンク入りの液体も持ち込んでいた。「ガソリン」「火を付ける」などと警察官らを脅したとされるが、県警の鑑定で、液体がガソリンだったことが確認されたという。

 鈴木容疑者が局員2人を人質に立てこもったのは、同日午後2時過ぎから約8時間。昨年10月に自身のバイクと蕨郵便局のバイクが衝突し、物損事故で処理されたことに不満があり、局長や担当の警察官を呼ぶよう求めた。途中で人質1人を解放。もう1人は、警察官が突入する直前に自力で外に避難した。

 一方、事件の直前には、郵便局から約1・5キロ離れた戸田中央総合病院(埼玉県戸田市)でも発砲事件が発生。1階の診察室の曇りガラスが割れ、室内の医師と患者がけがをした。病院から約1・5キロほど離れた鈴木容疑者の自宅アパートでは、建物が全焼する火災が起きた。鈴木容疑者は両事件への関与も認めており、県警は医師らへの殺人未遂や現住建造物等放火などの容疑でも調べている。(有元愛美子、野口駿、仁村秀一)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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