来夏の東京都知事選に向け、自民党都連(鴨下一郎会長)が小池百合子都知事の対抗馬擁立の動きを加速させている。都連は平成29年の都議選で小池氏率いる都民ファーストの会に大敗し、都政で煮え湯を飲まされてきた。雪辱を果たしたいところだが、小池氏に勝てる候補を探すのは至難の業だ。小池氏と旧知の仲の二階俊博幹事長は「(小池氏が)立候補したら自民党が応援するのは当たり前」との立場で、党内は内部分裂の様相を呈している。
都連は9日、党本部で候補者選考委員会の会合を開いた。終了後、都連所属の萩生田(はぎうだ)光一幹事長代行は記者団に「都政の課題や自民党が目指す都のあり方も議論しながら候補者像を絞り込んでいきたい」と説明した。会合では都議らが小池氏の公約違反を指摘したほか、「投票日は東京五輪の開会式とできるだけ離した方がいい」との意見も出た。小池氏の任期満了は来年7月30日で、開会式が同24日に予定されるからだ。公職選挙法の規定から同5日投開票の見方がある。
出馬を明言していない小池氏に対し、都連は6月に候補者選考委員会を立ち上げ、対決姿勢を強めている。だが小池氏に勝てる候補の擁立は簡単ではない。
7月の参院選で自民党が都内で獲得した比例代表の総得票数は約187万票だが、小池氏は28年の知事選で約291万票を獲得した。当時は「小池旋風」が吹き荒れていたとはいえ、自民党は小池氏に大きく水をあけられている。
自民党内では対立候補として、参院選東京選挙区で全国最多の約114万票を獲得した丸川珠代元五輪相や鈴木大地スポーツ庁長官らの名前が挙がる。だが、都連幹部は「勝てるかどうか分からない」と本音を漏らす。れいわ新選組の山本太郎代表が出馬し、自民党が擁立した候補と小池氏による保守分裂の中で、漁夫の利を得るのではないかとの警戒感もちらつく。
都連にとって、二階氏が小池氏を支持していることも悩みの種だ。二階氏は7月30日の記者会見で「小池氏は客観的にも首都を代表する知事として活躍している。都民がどれだけ支援するかを見極めたい」と述べた。二階氏周辺は「早く候補者を決めろということだ」と代弁するが、党内からは「首都の知事選は負ければ政局に直結する。負けないことが重要だ」と小池氏を支持すべきだとの意見も上がる。
ただ、候補者選びに時間がかかりすぎれば、「五輪の準備を進める小池氏の足を引っ張る自民」という構図になり、勝機がさらに遠のきかねない。党内では「勝つためには野党も相乗りできる候補者を選ぶべきだ」との意見も出始め、都連が目指す候補者擁立は難航しそうだ。(大島悠亮)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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