安倍晋三内閣不信任決議案が25日の衆院本会議で否決された。提出した立憲民主や国民民主など野党5党派は参院選を意識し、安倍内閣の不信任決議案を提出することで政権との対決姿勢を演出することに腐心した。しかし最後まで見送り論がくすぶり、「弱腰」のイメージを払拭できたとはいいがたい。後味の悪さは党派間の疑心暗鬼も生んでいる。
「民主主義と立憲主義の見地から、憲政史上最悪と言わざるを得ない」
立憲民主党の枝野幸男代表は25日の衆院本会議で安倍内閣を強い口調でこう批判し、不信任に値すると訴えた。
演説時間は約55分。昨年7月の衆院本会議で2時間43分をかけた不信任案の趣旨説明に比べれば3分の1の長さだ。長丁場を覚悟していた公明党幹部は「早く終わってくれてありがたい」と皮肉った。
自民党の萩生田光一幹事長代行が反対討論で「政権交代の決意も、日本をリードしていく覚悟も感じられない」と見下したように、野党側の態度は最後まで煮え切らなかった。不信任案提出が衆院解散を誘引するリスクに揺れ続けたといえる。
国民民主党の榛葉賀津也参院幹事長は記者会見で、菅義偉官房長官が5月中旬に不信任案提出が衆院解散の大義になると表明して以降、野党内の一体感が薄れたとして「野党は解散でもてあそばれた」と語った。
25日の党首会談直前まで続いた野党の足並みの乱れは与党側にも伝わった。
自民党幹部は24日夜、「国民民主党が提出に反対しているようだ。立憲民主党が『提出で足並みをそろえよう』と説得しているようだが…」と述べた。
しかし国民民主党幹部は「わが党は選挙に強い衆院議員が多い。衆参同日選はむしろ望むところだ」と反論し、「衆院選への準備不足を理由に一貫して不信任案提出に慎重だった立憲民主党が、『弱腰』の汚名を国民民主党になすりつけるために流したデマだ」と憤りを隠さない。
政権奪取をかけた不信任案が野党間の「不信」を醸成しているとすれば、皮肉以外の何物でもない。(内藤慎二)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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