広島、長崎の街を一瞬にして破壊し、多くの命を奪った原爆。その恐ろしさを絵画にしようと、芸術学部の大学生3人が、被爆者から聞いた体験を絵に描いた。半年にわたる制作を通して、若者たちは戦争の悲惨さを自らの実感に変えていった。
絵を描いたのは、九州産業大学芸術学部の池田菜々香さん(20)、菅原舞花さん(20)、宮迫若葉さん(21)。福岡市原爆被害者の会が「戦争、原爆の悲惨さを伝えるため、写真では伝わらない感覚を絵画に込めてほしい」と大学に依頼し、3人が手をあげた。
語り部3人から話を聞き始めたのは昨年11月。それぞれが担当する人を決めた。
「一瞬を描いてほしい」
池田さんは、長崎で7歳の時に被爆した開(ひらき)勇さん(85)を受け持った。爆心地から約4キロの場所でビワの木に登っていた時に被爆した開さんは、強烈な「光」の記憶を語った。「赤いドロドロとしたひものような光が見え、次の瞬間に紫色の閃光(せんこう)が長崎の街全体に走った」
池田さんはまず、図案となる絵を4枚描いた。暗めの背景にオレンジの光、周りに白い線が巻き付いた原子爆弾「ファットマン」など、精いっぱい想像を膨らませたつもりだった。
だが、今年3月に図案を見せると、開さんは首を振った。
「全然違う。一瞬を描いてほ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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