磯部征紀
茨城県の鹿島港で2020年11月、貨物船と遊漁船が衝突して遊漁船の釣り客1人が死亡、8人が重軽傷を負った事故で、国の運輸安全委員会は17日、遊漁船の船長が遊漁船の免許を取得していなかったなどとする調査報告書を公表した。
報告書によると、同年11月28日早朝、貨物船「はやと」(498トン)と遊漁船「第五不動丸」(4・95トン)が衝突。転覆した遊漁船の船長や釣り客ら計12人が海に落ちた。
貨物船の船長は、衝突の3分前には遊漁船を目視で確認したが、進路を避けてくれると思っていた。一方、遊漁船の船長はすれ違えると考えており、互いに相手の船を発見した後も進路を変えなかった。また、遊漁船の船長は小型船舶の操縦資格はあったが、遊漁船の「特定操縦免許」は申請手続き中で、交付待ちだった。遊漁船の船長としての操船は事故時が2回目で、夜間出港の経験も乏しく、当日は不慣れな作業もあり、出港前に他船の動きを確認する余裕がなかったという。
報告書は、船長らに衝突回避をほかの船に委ねず、十分に余裕がある段階で減速させることや、遊漁船の運航者に船長の免許の確認や習熟度に応じたフォローを求めた。(磯部征紀)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル