社会学者の上野千鶴子さんと作家の鈴木涼美さんの共著「往復書簡 限界から始まる」(幻冬舎)が昨秋中国で翻訳刊行され、20万部を超えるヒットになっている。
「元AV女優」という過去を持つことで注目を浴びてきた鈴木さんは、上野さんと手紙を送り合う形式で自身の過去や女性としての葛藤に向き合う。「中国女性の悩みは、想像以上に日本の女性と似ていた」と話す鈴木さんに、中国での反響やフェミニズムへの考えを聞いた。
【連載】Think Gender 2023 インタビュー
ジェンダー平等で、日本は世界水準から大きく遅れをとっています。それは、私たちの思考や日常にどのような影響をもたらしているのでしょうか。3月8日の国際女性デーに際し、記者が「いま、このテーマを、この人に」と思う相手に話を聞きました。
――「往復書簡 限界から始まる」は中国での発売から半年で20万部を超えるヒットになっています。
中国語版が刊行された昨秋以降、複数の中国ウェブメディアから書面インタビューの形で取材を受けました。質問はどれも、中国女性の実感がこもったものでした。
本のなかで、女子大生のバイブルと呼ばれたファッション雑誌「JJ」が月刊発行を終えたことに触れ、〈『JJ』が迷いなく提案したような上昇婚神話を、今の女学生は自分から、もう必要ないと手放した〉と書きました。中国メディアからはそれに対して「でも日本ではいまも男心をくすぐる『あざと女子』が人気なのはどうしてなのか?」といった、矛盾をつくような質問もありました。
似た悩みを抱える中国の女性たち
フェミニズムには共感するけ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル