鈴鹿市の即時抗告を棄却 名古屋高裁「生活保護止めれば生活困難」

黄澈

 三重県鈴鹿市に住む女性(80)と次男(55)の申し立てを認め、津地裁が市による生活保護停止の執行取りやめを決定したことを不服として市がした即時抗告に対し、名古屋高裁は10日付で棄却する決定をした。市は最高裁への特別抗告はしない方針で、一審判決まで親子への生活保護の支給が維持されることが確定した。

 親子は難病の次男の通院のために自動車の利用が必要だが、鈴鹿市は生活保護の支給条件として要求した運転記録の提出をしなかったなどとして、昨年9月に支給を停止。親子は翌10月、市に処分の取り消しなどを求める訴訟を津地裁に提起するとともに執行の停止を申し立て、津地裁が認める決定を出した。鈴鹿市は即時抗告していた。

 今回の決定で、名古屋高裁は「親子の世帯収入だけでは、日常生活を維持することが困難で、生活保護が停止されれば、健康で文化的な最低限度の生活を維持できなくなることは明らか」と理由を説明。鈴鹿市の処分の違法性の有無については、「相手方世帯の状況などを総合して判断されるべきだ」と指摘した。

 鈴鹿市の担当者は「市の主張が認められず残念だ。今後は本訴に注力したい」と話している。(黄澈)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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