鉄冷え、震災乗りこえた 釜石市民楽団が36年ぶり東北吹奏コンへ

 岩手県釜石市吹奏楽団(山内真紀人団長)が4日、第65回東北吹奏楽コンクール(東北吹奏楽連盟、朝日新聞社など主催)の舞台に立つ。岩手県大会で最優秀の金賞に選ばれ、36年ぶりの出場だ。新日鉄釜石で栄えた街の衰退、東日本大震災――。楽団の復活には長い道のりがあった。

 演奏曲はテンポのいいハーモニーが特徴の課題曲「ジェネシス」と、彗星(すいせい)が宇宙をめぐるイメージの自由曲「Comet(コメット)」。7月にあった岩手県吹奏楽コンクール。コロナ対策で、会場での結果発表がなかったため、団員たちは解散後にLINEで吉報を知った。手応えはあったが、36年間、及ばなかっただけに「えっ、本当?」と驚いた。

 釜石市民吹奏楽団は1978年結成。新日鉄釜石を中心に街がにぎわい、10万人に迫る人口がいた頃は「20~30代ばかり60人ほどいた」と、当時から参加する打楽器の村井大司さん(62)は回想する。しかし、「鉄冷え」で合理化が進み、1989年に高炉の火が消えると人口も一気にしぼみ、メンバーも20人ほどに減って、県大会を突破することもなくなった。

 さらに、2011年3月の震災で、多くの団員の自宅が被災。練習場だった市民文化会館が浸水し、後に解体された。市内の倉庫に保管していた楽器の多くも流されてしまった。

 楽団はいったん1年間の活動…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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