銀行や商社、保険会社などの社員やOBらでつくる「職場九条の会共同行動実行委員会」が3日、東京都内で記者会見した。岸田政権が米国に対する「公約」にもとづき、国家安全保障戦略(NSS)など安保関連3文書を閣議決定して敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費の大幅増を決めたことに反対する声明を発表した。
声明は政府方針について「戦争放棄をうたう日本国憲法を蹂躙(じゅうりん)し、専守防衛や平和国家など日本の戦後安全保障政策を抜本的に転換するもの。集団的自衛権行使により日本を戦争に巻き込む危険な道」と批判。「軍事費拡大は負担増をもたらし、国民の命と暮らしが脅かされ、貿易や経済、企業活動に深刻な打撃を与える」と指摘した。
実行委員会は2月発足。銀行、海運、商社、生保、損保など業界ごとに社員やOBらで結成された「九条の会」10団体が連携して声明をまとめた。記者会見では「日本は食糧もエネルギーも輸入に頼る。戦争が始まれば海運が止まり、経済は大打撃を受ける。平和でなければ産業は成り立たない」などの発言が出た。
九条の会は2004年、「9条をもつ日本国憲法を守ろう」と作家の大江健三郎さんや井上ひさしさんらが呼びかけて発足。全国の地域や職場ごとに約7千団体がつくられ、20年近く活動を続けてきた。(編集委員・北野隆一)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル