聞き手・市原研吾
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され、死亡した事件から8日で1年。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が次々と明らかになっている。苦悩する「2世信者」らを社会はどのように受け入れていくべきか。北海道大大学院の桜井義秀教授(宗教社会学)に話を聞いた。
「空白の30年」を経てパンドラの箱が開いた。歴代最長政権を築いた安倍元首相がビデオメッセージを送っていたことなど、政治家が旧統一教会側を後押ししていた事実が次々に明るみに出た。
旧統一教会は、文鮮明(ムンソンミョン)氏が1954年に韓国で設立した。ベースにあるのは日本の植民地支配に贖罪(しょくざい)を迫る「恨」の思想だが、選挙の手伝いや集票を買って出て日本の政治家と持ちつ持たれつの関係を作った。
教団の特徴は関係団体をうまく使うことにある。元々は反共産主義、次は性的マイノリティーや夫婦別姓への反対など、保守の団体を立ち上げ、環境保護や国際ボランティアなど万人受けする団体を作った。政治家にとっても教団と直接関係するのは抵抗があっても、関係団体であればハードルが低かったはずだ。
「自己責任」「自業自得」とみられた信者
銃撃事件が起きるまで、旧統…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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