銃撃教訓の「緩衝帯」を越えた爆発物 首相まで10mに迫った容疑者

 選挙演説会場で、岸田文雄首相の近くに爆発物が投げ込まれた事件では、和歌山県警が警察庁の指示に沿って、聴衆の前列に関係者を集める警護計画を立てていた。「緩衝帯」の頭上を飛び越えた筒状の爆発物は、警察の要人警護に大きな課題を投げかけた。

 和歌山湾に面した雑賀崎(さいかざき)漁港。15日は小雨が落ち、漁が休みの週末にもかかわらず、漁師たちが午前中から家族を連れ、仲間と落ち合うように集まり始めた。岸田文雄首相が衆院補選の応援演説に来るとあって、地元漁協の動員に応じた人たちだった。

 漁協関係者によると、候補者陣営から、漁港での演説会の開催について相談があったのは4月上旬。岸田首相の来訪は11日ごろに決まったという。翌12日、県警幹部らが漁港を訪れ、2時間にわたり、網や道具が入った箱の中までくまなく調べていったという。

 事件当日。午前10時ごろから警察官らが会場に来て、屋根があり、一方がいけすで区切られたエリアを三角コーンと棒で区切って、聴衆が立つエリアを設けた。聴衆は10時半ごろから集まり始め、開始前には約200人に膨らんだ。手荷物検査は実施せず、エリアを仕切る高さ数十センチの棒をまたいで進入する人もいた。演説の時間が近づくと、聴衆の前列には漁師たちが集まっていた。

 そのころ、現場付近の防犯カメラには、木村隆二容疑者(24)とみられる人物が演説会場へ歩いて向かう姿が映っていた。岸田首相を乗せた車列の後を追うように歩き、そのまま会場の聴衆の中へ進んでいった。

警察庁が出していた指示

 警察関係者によると、会場で…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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