コンピューターの作った仮想現実の中に人間が暮らす、あるいは脳波で遠隔操作する分身ロボットが実生活を送る――。SFの中だけと思っていた世界が、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった技術の伸展で、全くの夢物語とも言えない時代になってきました。もし、そんな未来がやってきたら、私たちの「リアルな身体」が持つ意味も変わってしまうのでしょうか? 産業技術総合研究所が昨年11月に開設した、人間拡張研究センター(千葉県柏市)では、VRやロボット技術などを複合し、人間の能力拡張を産業化する研究を進めていると言います。研究センター長を務める、人間工学が専門の持丸正明さんに聞きました。
――このセンターでは、どのようなことを目指しているのですか。
「VRやAR、ロボット技術を使って身体の機能を拡張すると共に、道具に頼ってしまうのではなく、それを使うことで、私たちの身体そのものを増強できるサービスを産業化したいと考えています」
「介護を受けている方が、センサーやコンピューターの『頭脳』にあたるCPUのついたロボット介護機器を使い続けることで、身体の機能を維持・改善したり、健康に関心のない人でも、仲間との共感を高めることで運動を継続したり。こうしたことが、私たちがフォーカスしようとしている『人間拡張』です」
――人間の身体の増強に、なぜVRやロボット技術が役立つのでしょうか。
「人は、周囲の環境から刺激を…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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