小学校の給食時間中、児童が激しいアレルギー症状「アナフィラキシー」を起こし、一時入院した。体調不良を訴えてから、症状を緩和する自己注射薬「エピペン」を担任が打つまで、20分近くかかった。学校側は幾重にも発症させない対策を講じていて、「起きるはずのない事故」だったことが対応を遅らせた。(茂木克信)
食べ始めて10分 「おなかが痛い」とトイレへ
乳・乳製品にアレルギーがあるこの児童は、給食で出る牛乳の代わりに毎日自宅から豆乳を持っていく。主食がパンの日は乳成分を含まないパンも持参する。おかずは乳成分を除去した食材で作られている。色分けされた専用のトレーを使い、教職員が給食室から直接運ぶ。
だから安心して食べられる。……はずだった。
9月5日午後0時15分、新潟県上越市の市立小学校。クラス全員分の準備が整い、一斉に食べ始めた。
児童はすぐ、のどに痛みを感じた。おかずに違和感を覚えたが、安全だと信じていたのでそのまま食べ続けた。
10分後。3分の1ほど食べ進めたところで、「おなかが痛いのでトイレに行ってきます」と担任の教諭に申し出た。トイレに向かう途中、気分が悪くてフラフラした。個室の便座に座った途端、下痢を繰り返した。
児童がトイレに向かって5分ほどして、担任は配布物を取りに職員室へ行き、その行き帰りにトイレの個室に鍵がかかっているのを確認した。声はかけなかった。同35分に給食の時間が終わると、補助職員に様子を見てくるよう指示をした。
児童はまだトイレの個室にいた。扉越しに「大丈夫?」と尋ねられ、「はい」と答えた。給食を片づけていいかも聞かれ、「片づけて下さい」と返した。
たどり着いた教室 「先生、気持ち悪いです」
補助職員が離れた後、息苦しさが増した。何とか教室へ戻ろうと個室を出て、手洗い場の鏡で自分の顔を見た。湿疹で真っ赤になっていた。
「乳かもしれない」
恐怖に襲われた。以前、外食…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル