運転40年を超える老朽原発の再稼働に、福井県知事が同意した。「温室効果ガス削減」を旗印にする国が地元に交付金を示し、議論は深まることなく進んだ。運転開始から年数が経つ原発は各地にある。使用済み核燃料の行き先や安全性への懸念を棚上げにし、原発は長寿命化に向かう。
知事、「前提」の議論を切り離し
「関電の覚悟があり、国も主体的に取り組む。一定の状況になったのでないか」。杉本達治知事は28日の会見で、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外候補地について問われ、こう答えた。
中間貯蔵施設と老朽原発再稼働を切り離すこと、新たな交付金。この二つが福井の議論を前に進めた。
核燃料サイクルが実現せず、県内の原発に使用済み燃料がたまり続ける福井にとって、県外候補地は長年の課題で、関西電力に提示を求めてきた。杉本知事は昨年10月、老朽原発の議論に関し、県外候補地の提示を「前提」と明言した。
電力各社で作る電気事業連合会が昨年12月、青森県むつ市の施設を各社で使用する案を公表し、関電は「参画」に言及した。だが、宮下宗一郎・むつ市長は「むつは核のゴミ捨て場ではない」と反発。案は棚上げになった。
年明け、国が動いた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル