クルーズ客船「コスタ・アトランチカ」の乗員から新たに新型コロナウイルス感染が相次いだことで、地元では受け入れ医療機関の逼迫(ひっぱく)が懸念されている。乗員の感染者増加に加え、市中感染が拡大する可能性も指摘されており、長崎県医師会は23日、医療崩壊につながりかねないとして「医療危機的状況宣言」を出した。
県は、クルーズ船の感染者は重症者のみ病院に搬送して入院、治療にあたる方針。現在は1人が指定医療機関で人工呼吸器を使用。軽症、無症状者は、船内の個室で健康観察してもらうことにしている。
県は、指定医療機関などに専用病床102床を確保しており、一般医療機関も合わせて計900床に拡充する。軽症、無症状者向けの療養施設としてホテルなど約千室の確保を目指しており、現時点では受け入れ態勢は不足していない。
ただ、全乗員の検査の結果、感染確認はさらに増える可能性がある。また、同工場には同船以外にも同じ船会社の2隻の客船が停泊し、それぞれ約670人、390人の乗員がいる。これらの客船に感染が拡大すれば、病床や搬送方法の確保、通訳などさまざまな面での対応が必要になる。さらに、県が3月上旬に船側に乗下船の自粛を求めて以降も乗員らがバスやタクシーで長崎市のホテルなどを訪れたり、外出して岸壁を歩いたりしていたことが分かっており、市中感染が拡大する恐れが強まっている。
長崎県医師会は医療危機的状況宣言で「長崎県は大都市部と違い、医療人材が極めて限られている。医療過疎地域も多く、新型コロナ感染症の発生が医療崩壊さらに地域の崩壊・消滅につながりかねない」と指摘。併せて県民に感染防止策のさらなる徹底を呼び掛けている。中村法道知事は「今のままでは(医療態勢は)不足している。国の支援をお願いしたい」と話している。(華山哲幸)
西日本新聞社
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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