長崎の離島留学生、2割が退学・転学 「実態把握が必要」制度検証へ

 長崎県教育委員会は20日、高校生の「離島留学制度」の課題を検証する委員会を開いた。転学や退学をする離島留学生は2割に上り、公立高校と比べて多い状況が明らかになった。検討委員会は「転退学者が多い」として、実態調査をもとに8月下旬に制度の改善策をまとめるという。

 委員会は、離島留学制度を使って壱岐市の里親の元で生活していた高校2年の男子生徒(17)が先月死亡したことを受け開かれた。この制度は現在、対馬、壱岐、五島、五島南、奈留の5校が対象で、生徒たちは国際文化やスポーツなど特色あるコースで学ぶ。2003年度に始まり、過去21年間で1129人が入学。現在は5校に179人が在籍し、うち8割が島外から来ている。

 県によると、過去3年間で入学した269人のうち転学や退学となったのは62人(23%)。特に中学生の時に50日以上欠席していた子は、半数以上が転退学していた。県内の公立高校の転退学者の割合は4~5%。県教委は「不登校や様々な事情を抱え、特別な支援を必要としている子がいる」と指摘した。

 委員からは検証を求める声があがった。臨床心理士の委員は「学校から帰っても自分の家ではない場所で、子どもたちの不安はたまりやすい。なぜ離島留学に至ったのか。どんな期待や願いを持っているのか。子どもたちの実態把握が必要」と指摘した。

 里親へのサポート態勢も議論になった。現在、計28人の里親が98人の子どもを下宿させている。ただ、留学を希望する生徒に比べて里親の数は不足しており、7~9人の面倒を見る里親もいるという。委員からは「地域全体で子どもを支える仕組みも必要では」との意見も出た。県教委は「里親への組織的な研修はしておらず、里親の不安を拾い上げ、解消する手立ては不十分だ」と述べ、研修を今後検討するとした。

 委員長を務める長崎県立大の本田道明学長補佐は「開始から20年たち、離島留学制度そのものを見直すタイミングだ。壱岐市の事案の背景に何があったのか、課題を検証していきたい」と話した。石倉徹也

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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